ラッフルズ 1887
ラッフルズのバーテンダー、嚴崇文が1915年に考案したシンガポール スリング。ローズピンクの粋なカクテルは、瞬く間にホテルのシグネチャードリンクとなりました。それから1世紀を経た現在、新しいカクテル、ボストン スリングが誕生しました。
2023年にオープンしたRaffles Bostonは、アメリカ大陸初のラッフルズホテルです。その誕生を祝うのに、最大級の成功を収めたTVシリーズ、『チアーズ』にインスピレーションを与えたニューイングランドの街の視点と味覚、歴史を通して、伝統のシンガポール スリングをアレンジする以上の方法があるでしょうか? (架空の「誰もがあなたの名前を知っているバー」のインスピレーション源となったパブは、今もボストン パブリック ガーデンの向かいに存在します)
シンガポール スリング同様、ボストン スリングのベースとなっているのはジンです。植民地時代から、1780年創業のウォーレン・タバーンなどの店が酒飲みのたまり場となった独立戦争期を経て、現在の活気溢れるバーに至るまで、ジンはボストンの文化において確固とした存在感を示してきました。当然ながら、Raffles Bostonで使っているのは古い蒸留酒ではなく、地元のスピリッツ製造者がホテルの18階にある隠れ家のために作ったブラインド ダック ジンです。軽くほのかな風味に仕上げられたブラインド ダックは、他のさまざまな材料とうまく調和して、申し分のないカクテルベースとなります。
さて、このジンにはどんな材料を加えればよいでしょう? オリジナルのスリングは、ベネディクティン、チェリーリキュール、パイナップルジュースなどの材料を混合して、ピンクの色合いとさりげないトロピカルテイストを演出しています。ニューイングランドの名物といえば欠かせないのが、秋のリンゴとクランベリー。ボストン スリングで大きな役割を果たしてくれるのは明らかでした。こうしてジンベースにクランベリーコンポートとホテル特製のアップルシュラブが加わりました。シュラブはフルーツ、砂糖、ビネガーを合わせた伝統的シロップで、美味しいのはもちろん、パンチのある酸味でカクテルに爽やかさを与えてくれます。
最後に、ドランブイ、アマーロ・ノニーノ、ザクロリキュールをそれぞれ適量加えます。これにより、定番スリングの材料で作ったものよりもさらに軽くフルーティで、蜂蜜の風味が引き立つカクテルになります。バランスを整えるために少量のライムジュースを加え、勢いよくシェイクすれば出来上がりです。
ホテルのオープンに向けてバーテンダーたちが試行錯誤し、協力して作り上げた、独自のカクテルと呼ぶにふさわしいボストン スリング。シンガポールというよりボストンらしい、ラッフルズならではの味わいが感じられる美味しいカクテルに仕上がりました。
ボストン スリングの作り方
ジン 2オンス
ザクロリキュール 1/2オンス
ドランブイ 1/4オンス
アマーロ・ノニーノ 1/2オンス
クランベリーコンポート 1オンス*
アップルシュラブ 1オンス**
フレッシュライムジュース 1/2オンス
上記の材料を合わせて氷を加え、勢いよく振って混ぜ合わせ、冷やします。クラッシュアイスまたはペブルアイスを入れたハイボールグラスに漉して注ぎます。ザクロの種を飾ります。
*クランベリーコンポート
同量の砂糖と水を混ぜて昔ながらのシロップを作り、沸騰させて、砂糖が完全に溶けたら冷やします。ブレンダーに同量のシロップと缶詰のクランベリーソースを入れて、なめらかに混ざるまでピューレします。
**アップルシュラブ
リンゴ4個を小~中サイズの角切りにし、芯と種を取り除きます。鍋にリンゴとホワイトビネガー2カップ、砂糖1クォートを入れます。強めの中火にして砂糖を溶かし、よく混ぜ合わせます。リンゴが柔らかくなるまでぐつぐつ煮ます。火から下ろして冷まします。1~2日間漬け込んだ後、リンゴを漉して取っておきます。1/4オンスまたは7mlのフレーズ デ ボアリキュールをシャンパングラスに注ぎます。