ラッフルズ 1887
パリのポストカード
哲学者フリードリヒ・ニーチェはかつて、「芸術家にとって、ヨーロッパで家と呼べる場所は、パリ以外にない」と宣言しました。そして実際、美術史上の偉大な人物の多くがパリで暮らし、学び、働いていたことは周知の事実です。この都市の独特な芸術的遺産にインスピレーションを得た、英国のデジタルファッションイラストレーター、ジェイソン・ブルックスは、心に強く訴えかけるような美しいデッサンのコレクションを生み出しています。その一つ一つが、「光の都」の魅力と美的遺産を彷彿とさせます。
Le Royal Monceau – Raffles Paris
最高に上品なホテルというだけでなく、コンテンポラリーギャラリーを併設するなど、アート愛好家にとっても魅力的な滞在先であるLe Royal Monceau – Raffles Paris。ジェイソンはその建築のリズムを楽譜に見立て、これに魅了されました。彼の作品は、窓やバルコニーのスタイルにバリエーションがあるホテルのファサードを描いています。
フィリップ・スタルクの作品の熱心なファンであるジェイソンは、ホテル内で描いた2枚目のイラストで、昔ながらのインテリアデザインプロポーションと、現代的でクールなタッチを融合させて見事に表現しています。37 avenue Hoche
モンマルトル
アンリ・マティス、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、ピエール=オーギュスト・ルノワールといった芸術家たちが、活気あふれる丘の上の村モンマルトルに、かつて集まっていました。ここは、ジェイソンがイラスト付きの日記『Paris Sketchbook(パリ・スケッチブック)』を制作していた間に滞在していた場所でもあります。その頃最も印象に残っている思い出のひとつは、アパートメントから刻々と変化する光に照らされたエッフェル塔を眺めていたことだと言います。
ココ・シャネルのアパートメント
ジェイソンのファッションへの情熱によって、伝説のデザイナー、ココ・シャネルの聖域ともいえるカンボン通り31番地の自宅アパートメントのスケッチが描かれました。ジェイソンは、ココ・シャネルのサロンを、彼女のブランド名にちなんだ軽やかなタッチで描きながら、彼女が愛したモチーフであるライオン、カメリア、5番、Cの文字にも目を配っています。このアパートメントは一般公開されていません。
ロダン美術館
ロダン美術館では、この街で最も著名な芸術家の一人、フランソワ=オーギュスト=ルネ・ロダンの作品を展示しています。建物のエントランスホールと階段の壮大さとスケールは、その中に収められた美しい彫刻や絵画の背景をエレガントなものにし、この美しいポストカードを描く刺激となりました。77 Rue de Varenne
カフェ・ド・フロール
ジェイソンは、かつてこのカフェの常連客であったパブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイ、イヴ・サンローラン、シモーヌ・ド・ボーヴォワールなど、その素晴らしいスタイル感覚に特にインスピレーションを受けたと言います。172 Bd Saint-Germain
ジェイソン・ブルックスは『Paris Sketchbook(パリ・スケッチブック)』の著者でもあります。ファッションイラストレーションの分野にデジタル技術を初めて導入した人物の一人として評価されているジェイソンは、シャネル、ランコム、ティファニー、ヴァージン・アトランティック航空、ヴーヴ・クリコ、ルーカスフィルム、サザビーズ、スーパーヨット・モナコなど、多くの高級ブランドやライフスタイルブランドと仕事をしてきました。彼の版画やデッサン作品70点以上が、ロンドンのV&A博物館の常設コレクションとして所蔵されています。@jasonbrooksart